特定健診(メタボ健診)では,腹囲=へそ回りの腹囲も測定しています. というか,メタボの判定条件はこの通りなので;

男性であれば,腹囲=85cm以上,女性なら腹囲=90cm以上でなければ,名誉あるメタボ称号は得られないのです.したがって,NDB オープンデータでは,健診受診者の腹囲を『85cm未満』『85-90cm未満』『90cm以上』の三区分でまとめています.

このデータから,年齢区分別に 各腹囲の頻度分布を男女別にみるとこうなっていました.


どちらも 加齢と共に 腹回りが豊かになっていく傾向がみられますね.
これを見ると,男性では 既に40代で ほぼ半分がメタボ,70代では6割近くがメタボということになります. もちろん腹囲が85cm以上ならそれだけでメタボというわけではないのですが,実際には ほとんどの場面で 『85cm以上はすべてメタボ』として扱われています. このメタボ判定基準には問題も多く,この記事に書いたように;

高校・大学とラグビー部であり社会人になってからもラグビーを続けていて,身長は192cm,全身筋肉の塊のような若者が,口惜しさで震えながら差し出した検査結果通知にはこう書いてありました.
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どうしてこんなバカなことが起こるのか? それは腹囲=85cm以上という判定基準に 身長の差はまったく考慮されていないからです. 身長160cmでも 190cmでも,男性なら腹囲=85cmが基準なのです. これはどう考えてもおかしいですね.
腹囲の判定基準をこう決めたのは『内臓脂肪面積が100cm2以上になると,へそ回りの腹囲がこの値を超えるから』という理由でした. そしてそれは このデータが元になっています.

しかし一目でわかるように,腹囲が同じであっても 内臓脂肪面積には 大きな個人差があります. 男性のグラフ(左)で青点線で示したように,腹囲が同じ85cmであっても,その内蔵脂肪面積は 200cm2を超える人から50cm2以下の人までものすごくばらついていたのです. さらにこの図は,なぜ腹囲の基準を身長によって補正できなかったのかも白状しています. 対象人数は,男性で559人,女性で196人と あまりにも少なすぎて,身長別に集計できなかったのです.
これほどあいまいな基準だったので,当然のことながら腹囲を基準にすることの是非,そして 男性 85cm,女性 90cmという基準の妥当性は 何度も問題提起されています.

しかもその後,データを増やして 多数の人の内臓脂肪面積実測結果と腹囲との関係を更に調べました.しかし,どれだけデータを増やしても 個人差が大きいことに変わりはありません. むしろ 『内臓脂肪リスクがほとんどないと言い切れる腹囲は,男性で83cm,女性で77cm』という報告すらあります. しかしこれを基準にすると,今度は別の問題がでます. つまり 『感度は高いが特異性が下がる』,すなわちまったく内臓脂肪リスクのない人にもメタボという濡れ衣を着せてしまう確率がますます高くなるのです.
厚労省は この判定法改善を頑として拒否しています. その理由は『腹囲を測るという方法はどんな医療機関でもできる簡便な方法だから』だそうです.
NDBデータ解析 [番外編]【完】


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