十二指腸の入り口にメトホルミン水溶液とグルコース(=ブドウ糖)水溶液を,時間差をおいて シリコンンチューブ経由で流し込むという,ある意味極端な実験では,こうなりました.
メトホルミンをグルコースの30~60分前に注入しておくと,血糖値の上昇具合がかなり変化したのです.
こんな実験をしたのは,『食後の血糖値は,胃からの食物排出時間の長短に 大きく影響される』からです.だから胃を迂回する実験にしたのです.
そこで,不肖ぞるばが体を張って 通常の食事に対するメトホルミンの『先呑み』効果を試してみたら,こうなりました.
東洋水産の『マルちゃん 正麺 味噌味』だけを完食する食事において,メトホルミンを食事の 120分前,90分前,60分前 及び食事開始と同時に服用した結果です.
ご覧の通り チューブを使った実験結果のようなきれいな結果,つまり『先呑み』時間に対する明確な時間依存性はみられませんでした.
しかしながら,これだけいろいろな時間差実験を行っても,『メトホルミンを食前にのまないよりは,のんだ方が食後血糖値上昇は穏やかになる』という傾向は明らかでした.強いて言えば,食前60分の場合が(緑線) もっとも食後の血糖値上昇曲線下面積が小さい,つまり 食後血糖値スパイクをもっとも抑制した,と言えるでしょう.この結果が誰にも同じように現れるかどうかは不明ですが,この結果だけを見れば『どうせメトホルミンをのむのであれば,食前にのんだ方がいい』とだけは言えそうです.
そもそもメトホルミンを『先呑み』すると なぜ食事開始後にGLP-1分泌が増強されるのか,そのメカニズムが不明なので,この『正麺テスト』の結果を理論づけて説明するのは不可能なのですが,ただ やはりメトホルミンは体内に吸収された分だけでなく,吸収されずに腸管を通過したけのメトホルミンも何らかの作用を発揮している,これだけは裏付けられたと思います.
[続く]
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