新型コロナウイルス:BCG説を考える[4]

【注意】
この記事は 新型コロナウイルスについて,BCGワクチンが予防や重症化防止に有効であると主張するものではありません.あくまでも現時点で仮説の1つとして情報を整理することだけが目的です.

死者数で考えよう

前記事では,新型コロナウイルスがBCG接種と関係しているかどうかは,感染者数でも感染率でもなく,死者数・死亡率で考えるべきだと書きました. 仮に 新型コロナウイルスの感染検査がまったく行われていない国であっても,この感染症に特有の呼吸困難・肺炎による死亡であれば隠すことができないからです.

ただし現時点では,まだ感染が爆発しつつある国や,収束しつつある(ようにみえる)国が混在しています. ですので 本来はコロナが完全に収束して各国の死亡統計が確定してから行うべき分析ではありますが,とりあえず現時点での瞬間データで話を進めます.

Johns Hopkins大学では,新型コロナウイルスの国別死者数・死亡率をリアルタイムで集計発表しています.

Johns Hopkins University

また
Our World in Data
というサイトでは,世界の国別に,人口100万人あたりの新型コロナウイルス死亡者を公開しています.

2020/01/31
2020/02/29
2020/03/31

2月に 感染が 中国からイランとイタリアに飛び火するや,急速に欧米に死者が増えていった経緯がよくわかります.

比較条件

ここで,国別に新型コロナウイルス死亡率とBCGワクチン接種との関係を調べるにあたっては,下記の条件をつけました.

  • 極端に医療水準の違う国同士を比較しない
  • 人口の少ない国/人口密度の極端に低い国/極端に人口密度の高い国は除外する

最初の条件から,少なくともいわゆる先進国同士を比較することが適切となります.また政情不安又は国家が崩壊している国(ベネズエラやイエメン)では,そもそも医療統計すら信頼できないでしょう.

後者の条件から,シンガポールやUAEのような都市国家は,医療水準は高くても社会構成が特異なので除外します.

なお,中国政府の発表する数字の信ぴょう性には疑問との意見もあるので,中国も比較対象から除外します.

BCG接種制度と死亡率

上記の選定条件から選んだ国のデータは以下の通りです.また表の最右欄には,The BCG Atlas に掲載された 各国のBCG接種制度を表示しています.

[5]に続く

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