2019年 結果まとめ

しらねのぞるばの昨年1年間の 日中 血糖値変化の記録です. 本来 年明け早々にまとめるつもりでしたが,学会参加やコロナウイルス騒動で すっかり遅くなってしまいました.

なお 私はリブレを使っておりません.病院から貸し出される リブレProと異なり,リブレは血糖値の変化パターンの把握や,予期していない時間帯の血糖値の変動を知るためには いいツールだと思うのですが,絶対値が信用できないので使っておりません.

10点スタガー測定です

血糖値を測り始めた頃は,毎日10点,日によっては それ以上(食後3,4時間後まで)測っていました.しかし 糖質制限食にしてからは,血糖値も落ち着いているので,下図のような スタガー(ズラし=Staggered)10点測定にしております.

2019年の結果

スタガー10点測定で 月に1~3サイクルの測定を行ってきた 昨年1年の結果が下の通りです.(各点は n=20~28)

グラフの各点から上下に伸びるヒゲは,標準偏差を表しています.
また 時々は深夜に目が覚めた時にも測定していますが,毎回100未満(80~96くらい)なので,グラフにはしていません.
糖質摂取量を自分の耐糖能の範囲内にとどめるという自己流の糖質制限も9年目に入り,すっかり落ち着いているようです.なお,血糖値以外では,昨年の健康診断結果の通り,

順調でした. もちろん以上の結果から,

『糖尿病が完治した』などという結論にとびつくほどの軽率さは持ち合わせていませんが,私としてはこの状態を保つだけで構わないと思っています.別にあと50年ほど生きてみようというわけではないのですから.

コメント

  1. 西村 典彦 より:

    >リブレは血糖値の変化パターンの把握や,予期していない時間帯の血糖値の変動を知るためには いいツールだと思うのですが,絶対値が信用できない

    絶対値が信用できないのはそのとおりですが、その絶対値が狂いすぎて血糖値の変動も信用できないことも多々あります。
    精度が悪いせいで時間と共に血糖値が下がっている最中は、食後血糖値の上昇も少なく計測されたりします。ぜひメーカーには改善をお願いしたいです。
    ただ、これらの精度は、装着時の偶然の産物であったり装着後の皮膚のカブレが原因であることが多く、製品そのものの精度のバラツキではないとと感じることが多いのですが、それならなぜProは精度が高いのか不思議です。

    キャリブレーション不要と言うのがこの製品の売りですが、このような状況なので、仕方なく、食前にはできる限りSMBGを併用で計測し、その差でリブレでのピーク値を補正するようにしています。それで少しは精度が上がりますが、食後ピークも信用できない時は両方ともSMBGを併用します。

    それでも、あまりにも精度が悪い場合は、メーカーに返品交換をお願いしています。
    正確に数えていませんが、2割くらいは無償交換してもらっていると思いますが、今のところ交換を拒否されたことはありません。
    製品として謳っている精度が出ない、または2週間と言う使用期間を満たさないのであればメーカーの対応としては当然と思います。購入価格はそんなに安いものではありませんが、製造原価はそんなに高価なものとは思えません。

    ※使用期間については「最長で2週間」使えると言う記述になっているので、2週間きっちり使えなければいけないのかは微妙ですが、10日以下なら交換をお願いしています。

    装着直後に精度が悪く、1日以上経過してから安定する場合が多いですが、日本向け製品は、装着後1時間から計測可能ですが、アメリカでは10時間後かららしいです。
    そして使用期間は2週間ですが、アメリカでは10日と聞いています。これも10日目以降に精度が落ちることが多い事を考えると2週間は長すぎるように思います。
    日本での保険適用の基準に合わせるために無理をしているのではないでしょうか。想像ですが。

    悪い点ばかりを書きましたが、すでに私は50個以上使っています。ということは、それなりに役立っていると言う事です。

    特製を理解してうまく使えば、SMBGでは絶対に解り得なかった事も知ることができます。
    暁現象など就寝中の血糖変動はもちろんの事、私は、うどんを食べたら1時間後のピークは疑似ピークで、一旦少し下がって再上昇し、ホントは5時間後がピークだったとか。これを知らなければうどんは血糖値が上がらないと思って平気で食べていたことでしょう。

    食前にはSMBGで計測できることが多いですが、食後のホントのピーク時は通勤電車の中と言うようなことが多く、SMBGでは朝食後のピークが捉えられません。また、電車からおりてで歩いている間は血糖値が下がり、会社で机に座ると再び上昇します。
    こんなことは24時間連続で測っているからこそ、知りえた貴重な自分自身の特性です。

    糖尿病治療がうまくいっていない理由の一つは個人差があまりにも大きいため、平均値は標準値なるものを指標にしても役に立たないことが多いのが原因であることもあると思います。
    このような個人の特性を臨床に生かすことは、今後の糖尿病治療には重要だと考えています。それにはリブレのような連続測定が必須です。きっと今までの常識が覆ることが多いと思います。

    • しらねのぞるば より:

      > それならなぜProは精度が高いのか

      メーカーの案内を見ると,”a factory calibrated continuous glucose monitoring (CGM) device” とあるので,出荷前に標準試料で 十分更正・調整しているのではないでしょうか.

      > うどんを食べたら1時間後のピークは疑似ピークで、一旦少し下がって再上昇し、ホントは5時間後がピークだった
      そうですね.こういうケースの検出は リブレならではでしょう. しかし5時間といえば,まして炭水化物の塊のうどんであれば,とっくに消化も吸収も終わっているはずなのに不思議ですね.うどんだけの現象なのでしょうか?

      これまでに SMBGは何回も機種を変更しており,そのたびに並行測定して機種間誤差がないかどうかを確かめていました. 結果は±10%程度の差であって,つまり機種内誤差とほとんど変わりませんでした. メーカーが違えば 測定方式もアルゴリズムも異なるのに,SMBGではこれほどの精度が保たれています.リブレも,せめて ユーザーが自分でCalibrationできる機能を付けてくれればいいのですけどね.

  2. 西村 典彦 より:

    >まして炭水化物の塊のうどんであれば,とっくに消化も吸収も終わっているはず

    炭水化物は消化が良いのでしょうか?
    この件は以前より疑問なのですが、汚い話で恐縮ですが、例えば、酔っ払いのゲロはほとんど炭水化物でありタンパク質が含まれていないように見えます。少なくとも割合的には炭水化物が圧倒的に多いように見えます。あまりじっくり見たことはないですが(笑)。

    これは〆に炭水化物を食べるからと見るべきなのか、消化が悪いと見るべきなのか(?)ですが、炭水化物は消化が悪いと言う事も聞きますし、消化が良いと言う事も聞きます。さて、どっちなのでしょう。「n=1でも真実である」をモットーとする私は、どっちかが間違っているんじゃなくてどっちもあるのかもしれないと思っています。炭水化物の種類によって、食べた人の体質によって変わる可能性も考えられるのではないかと。

    うどんのような炭水化物の塊を食べることはないのであまり比較できませんが、5時間後がピークなのは、今のところ、うどんだけです。それも日によってばらつきがあり90分~120分くらいがピークの事もありますが、何れの場合も5時間たってもベースには戻りません。

    • しらねのぞるば より:

      うどんを食べた後の,あの特有のズッシリ感から,たしかに胃での滞留時間は長そうですが,それにしても5時間滞留はないように思います.
      私は西村様と異なり,うどんを食べると糖負荷試験ほどではないにしても60分まで血糖値急上昇,その後(時には下方オーバーシュートを起こすほど)急速に下がります.

      となると,デンプンからブドウ糖への分解時間の差,つまりアミラーゼの分泌量又は分泌タイミングの差でしょうか?

      • 西村 典彦 より:

        >アミラーゼの分泌量又は分泌タイミングの差でしょうか?

        最終過程のαグルコシターゼも関係があるかもしれません。
        そもそも私はα-GIを服用しても大した効き目はありませんでした。
        なんでこんな効かない薬が血糖降下薬として存在するんだろうと思ったくらいです。
        考えてみると元々、消化吸収が遅いのでα-GIの薬効を感じなかったのかもしれません。
        なので、途中でSGLT2阻害薬に変更してもらいました。

        さらに人生を振り返ってみると、幼少のころから小食かつ食べるのが非常に遅く、あまりお腹もすかなかった記憶があります。小学校低学年では給食を食べるのはクラスで一番遅く、よく昼休みがなくなっていました。なんで1日に3回食べるんだろう。お腹がすいた時だけ食べればいいのにと思っていました。

        以上の記憶をたどって考えると、消化が遅いのは生まれつきなのかもしれません。何かの消化酵素が極端に少ないのでしょうか?
        だからデンプンは消化吸収が遅いが、ブドウ糖は吸収が早く、糖質と言うより糖分が多いと血糖値がジェットコースターになると言う事も考えられますね。

        • しらねのぞるば より:

          >何かの消化酵素が極端に少ない

          この文献を見ると,

          『炭水化物の消化 ・吸収 ・発酵とその利用』 栄養学雑誌 59巻4号 p.169-176(2001)
          https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi1941/59/4/59_4_169/_pdf

          デンプン中のα-1,4結合が,まず α-アミラーゼで粗く分断されたのち,小腸上皮細胞のマルターゼ,スクラーゼ,イソマルターゼなど各種の酵素で単糖類分解される

          とありますので,このいずれかが影響を及ぼしているのでしょうか.

          • 西村典彦 より:

            多糖類から単糖類に分解される過程のどこかか、胃排泄に通常の人とは異なる現象があるのでしょうね。

            でもデンプンは消化に4時間以上かかると言う事も言われていますから私の血糖値はこの事とは合致します。
            2時間経たずにピークになる多くの方は、その後、消化に合わせてインスリン が分泌され続けているとも考えられます。

            さて、どっちなんでしょう。

          • しらねのぞるば より:

            デンプンの消化時間は,文献により2時間から4時間まで実にいろいろですね.
            ただ欧米では,デンプン(=ほとんどの場合 小麦)を単独で調理するということは非常にまれで 脂質と共に調理する場合がほとんどでしょう.つまり日本のうどんに当たる食物がない.

            炭水化物食品の形態により 血糖値上昇パターンを比較した文献がありましたが,

            Food properties affecting the digestion and absorption of carbohydrates
            Am J Clin Nutr 1994;59(suppl);699S-705S

            これを見ても(Fig.1) 白 食パンは,ピーク60分の急上昇/急降下(しかもアンダーシュート)ですが,パスタは緩やかに上がって 長いプラトーになっており,私の血糖値パターンとほぼ同じです.