キナーゼと聞くと
グルコキナーゼは 『グルコ』+ 『キナーゼ』です.キナーゼというからには 酵素の仲間なのでしょうね.
話がそれますが,この『キナーゼ』という言葉を聞くと,すぐに 『ナットウキナーゼ』を思い出して 背筋が寒くなります.
なぜなら 私は納豆が嫌いだからです.というか正確には好き嫌い以前の問題で,納豆から30m以内(← 30cmではありません)に近づけません.あの猛烈な臭いがどうもね.
もっともナットウキナーゼは,納豆に含まれる蛋白分解酵素の名前ですが,『キナーゼ』ではないそうです.
ナットウキナーゼとは,[納豆菌] = [Nattoukin]に それらしく酵素の –azeを付けたもの. つまり,”納豆菌 + aze” でナットウキナーゼだそうです.どこまで人をおちょくるのか.
キナーゼとは
本来キナーゼとは『リン酸化酵素』のことです.キナーゼ酵素とは,対象物質に働きかけて リン酸基をくっつけてしまいます. そして,そのリン酸基は ご存じATPから供給されます.この反応を効率よく起こさせる介在人がキナーゼ酵素です.
グルコキナーゼとは
グルコース=ブドウ糖は,そのままでは生体細胞内では扱いにくい化合物です.それは この 面構えからもわかります.
で,やっと ここにたどり着きました. グルコキナーゼは グルコースにリン酸基をくっつけてグルコース-6-リン酸にする酵素です.
誤解を恐れずにいえばグルコースはそのままの形では有害物です. なぜなら血糖値が高くなると,あちらこちらで血管内皮細胞を傷つけて損傷させることからも明らかです.
しかしながら,グルコースは また生体のエネルギー源としても有用です.特に無酸素運動の時には,エネルギー効率は低いですが,速効性のある燃料です.
ですので,有害なブドウ糖は可及的速やかに細胞内に取り込み,エネルギーとしてただちに使い切ってしまうのがベストです.もしも使い切れないほどのグルコースがあれば,グリコーゲンや脂肪として貯め込んでしまうようになっています.
すぐ消費するにせよ,貯めこむにせよ,とにかくグルコースが生体内に入ってきたら,そのままにしておかず,さっさとリン酸基をくっつけて扱いやすい形にして処理してしまう. これがグルコキナーゼの役割です.
[続く]
コメント
そうそう、わたしも「キナーゼ」はリン酸化酵素のことだと思っていたので、初めてナットウキナーゼの名前を聞いたときは、てっきりリン酸化酵素だと思い込んでました。なので、ナットウキナーゼが血栓を溶かすと聞いて、なんでリン酸化酵素が血栓を溶かすんだろう?と不思議でした。
まあ、血栓を溶かす治療に用いられるウロキナーゼもプロテアーゼなのに「キナーゼ」ですから、そういう例もあるのでしょう。
kinaseは英語では「カイネース」と発音するので、urokinaseも「ウロカイネース」だと思います。
では、nattokinaseの場合は???
これを「ナットウカイネース」としてしまうのはおかしいですよね。ナットウキン+aseなのだから、発音は「ナットウキネース」となるはず。
さて、実際にはどう発音されているのでしょう?
日本の科学用語は明治時代に作られたものが多いので,英語読みとドイツ語読みが混在していますね.
学生時代に 欧州の有名な化学者が来訪して 私の大学で講演をしたのですが,盛んに『ミサイルが移動』『ミサイルを奪って』などと言うので,合成化学の話なのにどうしてミサイルを飛ばすのだろうと思ったら,『Methyl』=メチルでしたw