[第55回糖尿病学の進歩]感想記事(8完) 面白かったです

第55回 糖尿病学の進歩

日本糖尿病学会が,主として糖尿病専門医向けに開催している『糖尿病学の進歩』を,閉会ギリギリの昨晩23:59までみっちりと聴講しておりました.

学会が行う行事には,これ以外にも『年次学術集会』や,分科会別のシンポジウムである『日本糖尿病合併症学会』『肝臓と糖尿病・代謝研究会』等々があるのですが,いずれも特定分野を狭く深く掘り下げるもので,素人の野次馬参加にはコスパはもうひとつです.

今まで『年次学術集会』にはほぼ毎年参加してきましたが,今回の『第55回 糖尿病学の進歩』は初参加でした. 全面WEB開催になったので,それなら 多くの講演がまとまって聞けるだろうと期待したからです.

終わってみれば

結論から申しますと,野次馬参加は正解でした.

聴講できた講演は 全講演156本中 100本以上. 1本の講演は約30分ですが,何度も視聴したり,重要なところではメモをとったりして3時間もかけたものもありました.

どの講演も 特定分野のテーマについて,基本的解説から,最新のホットな話題までお得な詰め合わせセットでした. 断片的な情報で あいまいにしか理解していなかったこともよくわかりました. またその分野では必ず引用される重要な文献(Keystone Papers)が系統的に紹介されたので,さらに理解を深めたいテーマについては,効率的なガイドが得られました.

講演の感想は ひとまず本記事で完了し,次回からは 特に興味をそそられたテーマについて,紹介された論文などをてがかりに考えていこうと思います.

[感想-完]

コメント

  1. 西村 典彦 より:

    一連の報告、ありがとうございました。お疲れさまでした。

    しらねのぞるば様の食事関係の報告より、日本糖尿病学会自体の方針は変わらずとも現場では食品交換表のウェイトは下がり、炭水化物60%の食事を唯一とする考え方はなくなりつつある事を感じました。
    今後、この雰囲気が末端の医師まで浸透し、画一化された治療ではなく、患者主体の治療に変わっていく事を期待したいです。
    ただ、そうなれば医師個人の知識、能力がより問われることになるでしょう。そして患者の医師の能力を見極める力によって結果に大きな差が出てきそうです。
    そうならないためには(医師の平均レベルを上げるには)、ガイドラインでしっかりサポートすることが必要なのだと思いますが、そこは今後、日本糖尿病学会がどこまで柔軟で的確な対応できるかによると思いますが、さて、どこまで進むでしょう。

    • しらねのぞるば より:

      >この雰囲気が末端の医師まで浸透し

      さて,ここからが見ものです.
      糖質制限食を始めたいと言った患者に,『学会ガイドラインに書いていない食事療法など認められるか!』と叱りつけた医師がいたそうですが,今後どうするのでしょうね.

      一つは,ガイドラインに記載されたのだから,もはや医師個人の責任は生じないとして,手のひらを返して『どうぞ,どうぞ 始めてください』というパターン.
      他方は,あくまでも自分の過去の発言とメンツにこだわって,『絶対に認めない』というパターン.

      いずれにせよ,患者のことは どうでもいいのでしょうね.