Cunnnigham論文の実験結果の考察です.
論文の原文に記載のグラフではわかりにくいので,数値を拾って グラフをこのように作り直しました.
スマホの方には小さすぎるかもしれませんが,
- 中央が スープ・マッシュポテトのどちらにもマーガリンを入れなかった対称群
- 左がスープにマーガリンを入れた場合
- そして右がポテトにマーガリンを入れた場合の結果です.
特に 左と右とで,結果として同じものを食べているのに,血糖値・インスリンの上昇値やパターンがまるで違うものになっています.
何がおこっているのか
上の3つのグラフ中,灰色の点線で示されているのは,胃の中のマッシュポテトの動きを追跡したものです. グラフの一番右の目盛りで,100%はマッシュポテトの全量が胃に入った時,そして 0%が全量が胃から出ていった時刻を表しています. このマッシュポテトの動きだけをまとめてグラフにするとこうなります.
まったくマーガリンを入れなかった場合(青線)に比べて,スープに入れた場合(茶)及びポテトに入れた場合(緑)は,どちらも ポテトが胃に滞留している時間が大幅に長くなっていることがわかります.
しかしよく見ると,スープにマーガリンを入れた場合(茶)は,たしかに胃からの排出は遅くなっているのですが,それは 排出が始まる時間がズレただけであって,一旦排出が始まると,青の線と同じ傾きで排出されていくことがわかります(← 茶色と青色の線の傾きはほぼ平行).
一方 緑のポテトにマーガリンを入れた場合では,排出そのものはすぐに始まっているのですが,ただ排出される速度が非常に遅くなっています(← 線の傾きが 茶色や青色よりも緩やか).
新幹線に例えれば,
- スープに脂質を入れた場合は,発車時刻が遅れただけであって,発車すれば200kmで東京駅を去って行ったのに対して
- ポテトに脂質を入れると,発車は定刻通りだったのだが,なぜか東京駅を後にしてもノロノロ運転で走っている
ということになります. これは何が起こっているのでしょうか?
[6]に続く
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