信頼できる糖尿病の情報とは2

前回記事で,出所不明の情報は信頼性が低い,と書きました. では「信頼性の高い」情報は,どこからどうやって入手するのか,この点ついて ぞるばのやり方を御紹介します.

糖尿病に限りませんが,医学・健康に関する「信頼性の高い」情報は,やはり専門学術雑誌に掲載されている文献・論文です. 学術雑誌には『誰が書いたのかわからない』記事はありえないからです.ほとんどの専門誌では,発表者の一方的な主張ではなく,掲載にあたっては 第三者による査読(Peer review) が行われ,その内容が厳しくチェックされます.根拠のあやふやな論文は 掲載拒否(reject)されてしまいます. そして,医学文献であれば,特に臨床文献であれば,必ずPECOが詳述されています.

  • Patient どういう患者を対象にしたのか
  • Exposure どんな治療・投薬を行ったのか
  • Comparison 比較対象はあるのかないのか,ある場合は何か
  • Outcome どんな指標で結果を判定したのか

    また まともな論文であれば,必ず Limitation,つまり 自説を一方的に素晴らしいと自画自賛するのではなくて,その限界・弱点・欠点も正直に記述しています.科学者ならば完璧ということはありえないことを自覚しているからです.

    Limitationを記載していない論文・文献は ニセ医学と断定してもいいでしょう.

    さらに,多くの文献を引用して さも自説が 世界中から認められているかのようにふるまう文献もありますが,それが チェリー・ピッキング (cherry-picking),つまり他人の論文の都合のいいところだけを切り取って利用しているのなら,そんな文献を読むのは時間の無駄です.むしろそういうインチキ論文を手厳しく批判している情報に触れる方が まだしも勉強になります.「なるほど こうやって都合よく化粧していたのか」と.

    ということで,ぞるばは ネットにあふれる『医学サイト』『健康サイト』ではなく,もっぱら 科学文献 検索サイトから情報収集しています.

    PubMed
    Google Scholar

    これらのサイトから得られる文献情報に 怪しげなものはほとんどありません(しかし皆無ではない). ただし 残念なのは,日本人の糖尿病に関する文献は ほとんどありません. 別にPubMedGoogleが意地悪をしていいるのではなく,日本から発信される論文がそもそも少ないので そうなるのです.しかも言葉のハンディもあります. 日本語で書かれた論文は,せいぜい 英文のAbstractがときたま紹介される程度です.

    ですので,日本の糖尿病文献となると,J-Stageから探すしかありません.

    J-Stage

    ただし J-Stageは日本の科学文献のすべてを網羅しているわけでもなく,また 全文を公開していることは稀です. なので,学会参加で得られる情報の質と量は 実に貴重なのです.

     

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